cross talk

対談

「これからの住まいのあるべき形が、このモデルハウスです」

クロストーク記念すべき第一回目では、完成した整居モデルハウスにて、設計を担当したひかり工務店の建築家・原田隆広さんをゲストに迎えました。
サウナを中心に「自然」「暮らし」との調和を追求し、癒しと快適さを両立させた住空間を実現した本モデルハウスのコンセプトや、これからの時代の家づくりにつながるお考えについて、ザックバランにお話しいただきました。
「モノ」から「コト」へ。
癒しの時代を迎えた住まいの未来像にも迫る内容です。

  • 長澤 猛
    長澤 猛 TAKESHI NAGASAWA

    いえものがたり株式会社 代表取締役社長
    地域密着型の工務店として、栃木県内での住宅建築や不動産事業に貢献。
    大のサウナ好きで、かねてより心に描いていた心も体も整うサウナが中心にある住まい「整居」のプロジェクトを始動。
    今回、第一号となる、モデルハウスをプロデュース。

  • 原田 隆広
    原田 隆広 TAKAHIRO HARADA

    株式会社 ひかり工務店 統括マネージャー
    大阪を拠点に注文住宅を展開する、ひかり工務店の設計部門の責任者。
    今回サウナ好きという共通点で、知人を介して長澤代表と交友を持ち、本モデルハウスの設計を担当することに。
    ジェルコリフォームコンテストにおいて、デザイン部門新人賞を受賞するなど、そのデザイン力も高く評価されています。

  • 01

    INTRODUCTION

    浴室は1階、サウナは2階に配置。
    新しい発想で本格的なサウナ住宅に。

    • 原田 隆広 原田氏
    • 今回はお招きいただき、ありがとうございます。
      最初お話をいただいた時から「整居」のモデルハウスはとても面白い試みだと思いましたね。
      長澤さんと話していて感じたのは、ただの「サウナ付き住宅」ではないこと。
      サウナが中心にあり、暮らしや体が整うこれまでにない、一つの成功モデルをつくるという点でした。

    • 長澤 猛 長澤
    • 絶対に、ただのサウナ付き住宅にはしたくないという想いがありました。
      浴室の横にとりあえずサウナを置く…そうしたプランでは、本当に体が整う「糠漬け理論」を実践できるサウナにはなりません。
      体を温め(漬ける)、冷やし(発酵を止め)、そして整える(熟成)。
      サウナでリラックスし、水ぶろでさらに副交感神経を活性化する。
      そのサイクルをしっかりできる、今までにない本格的なサウナのある住まいを目指しました。
      こうした考えに建築家の原田さんもすぐに理解を示してくれましたね。

    • 原田 隆広 原田氏
    • 私も長澤さんと同じくサウナが好きで、特に、自然を感じながら入るテントサウナが好き。
      そうした体験を住宅でも再現できると面白い。今回の整居のモデルハウスにも最適だと考えましたね。
      モデルハウスとしての魅せるデザインを意識しつつ、「サウナ」と「自然」、そして「暮らし」という整居のコンセプトを軸に設計を進めました。

    • 長澤 猛 長澤
    • プランの話をする中で、自ずと決まっていったのが、浴室とサウナの場所は完全に分けること、そしてサウナは2階に設けることでしたよね?

    • 原田 隆広 原田氏
    • そうですね。
      サウナを2階に設ける理由は、サウナに入った後の水ぶろを、室内ではなくバスコートのような2階のデッキに設けるためです。
      2階は1階よりも爽やかな風が吹く。
      外部の視線は完全にシャットアウトできるように外構(塀)を設け、さらに、水ぶろの入浴や体を整える休憩中に庭の植栽も眺めながらクールダウンができる…。
      そんなイメージが、私と長澤さんの間に共通認識として生まれていきました。

  • 02

    EXTERIOR

    1階から2階まで、どこに居ても自然を
    身近に感じる外構計画がポイントに。

    • 長澤 猛 長澤
    • 重要な役割を果たしていた要素の一つに外構・植栽計画がありましたよね?
      いろいろな生活のシーンで、庭の緑を愛でることができるように設計していただきましたね。

    • 原田 隆広 原田氏
    • はい、2階のバスコートまで伸びるシンボルツリーには「アオダモ」を採用するなど、樹種にもこだわりました。
      アオダモは樹形が細長く建築を引き立てくれます。
      さらに、風にしなり夏になると葉がサラサラと心地よい音を鳴らすんです。
      サウナ横の多目的カウンターからも、こうした緑を眺めることができます。

    • 長澤 猛 長澤
    • この吹き抜けにつながるカウンターでテレワークや子どもの勉強、時にはサウナ後にビールを飲みながらくつろぐ…。
      そんな風景も想定できましたね。
      2階だけではなく、1階のLDKにとっても、庭の緑は欠かせない存在ですよね?

    • 原田 隆広 原田氏
    • その通りです。
      1階のLDKに隣接するウッドデッキは、まさにこの庭の中にあり、自然を感じながら食事をすることができる「アウトドアリビング」にもなります。
      庭は、木の植え方やほど良い隆起のある築山、落ち葉が積層したようなフカフカなコケなど、自然の山を意識しながら丁寧にデザインしています。
      座った時にどのような景色が見えるかを、常に意識していました。

    • 長澤 猛 長澤
    • 家を建てるうえで、こうした外構(庭)がいかに重要なのか。
      外構は後回しにされることが多いのも事実ですが、今回、このモデルハウスでその重要性を示せたことは大変意義深いことです。
      上品で心が癒されるホテルやレストランも、やはり屋外の景色を常に大切にしていますよね。整居ではこうした提案も大切にしていきます。

  • 03

    FLOOR PLAN

    家事の時間を軽減して、暮らしを整える。
    そんな、機能的な間取りを。

    • 原田 隆広 原田氏
    • 整居には、「サウナ」「自然」の他に「暮らし」を整えることも重要なテーマです。
      では、暮らしが整うとはどういうことか?
      いかに家事の効率を上げ、リラックスするための時間を増やすか。これが暮らしを整えるということだと思います。

    • 長澤 猛 長澤
    • その通りで、今はお金が無いから共働きという時代ではない。
      共働きが普通になりつつある。
      そんな日々忙しいご夫婦が、家に帰ってきても、ダルっとならない住まいが求められているんです。
      暮らしの中で時間をつくって、サウナもいっぱい使ってほしい。
      そうなると家事の時間をどう軽減するかが重要になります。

    • 原田 隆広 原田氏
    • スムーズな家事動線はもちろん、キッチンまわりの機能的な設備やレイアウトが重要になります。
      例えばミーレの食洗器は、予備荒いが不要で大容量。食器洗いの時間がかなり軽減されます。
      さらに、キッチンをII型にすることで、料理を分業しても広々と使える。
      この他、ゴチャゴチャしたものを見えるところに出さないようにする、洗面周りの収納やキッチンから洗濯室のつながりなど、流れるような動線も意識しています。

    • 長澤 猛 長澤
    • 暮らしがキレイに、スムーズなると、住む人の気持ちも明るく上向いていくと思うんです。
      サウナと自然、快適な暮らしで、肉体的にも精神的にも健康的になる。
      まさに、これからの時代に求めらえている、ウェルビーイングな住まいです。

  • 04

    PROJECT HOUSING

    規格化して都市部でも展開できる設計。
    多くの人に届けたい、真の癒しの家。

    • 長澤 猛 長澤
    • 実は、今回のモデルハウスのプランは、地方はもちろん都市部でも規格住宅として建築できると考えているんです。
      そもそも、とても開放感のある住まいなんですが、延床面積は33坪ほどしかありません。
      さらに間取りは真四角…。これほどシンプルな形に、これだけの魅力を盛り込めたというのは、原田さんの設計力の賜物ですね。

    • 原田 隆広 原田氏
    • いえいえ。
      デザインの良い家と言えば、複雑な形や斬新なテイストなど奇をてらったものと思われている方がいるかもしれません。
      しかし、真四角のフレームに、中身を充実させる手法で、豊かな住空間を実現できるんです。

    • 長澤 猛 長澤
    • その通りですね。シンプルなデザインの再現性の高い成功モデルをつくることで、多くの方が豊かな暮らしに手が届くようになります。
      また、都市部の富裕層の方が、地方にリゾートライクなセカンドハウスとして建てる場合にも活用できます。

    • 原田 隆広 原田氏
    • もう住まいのトレンドである、ローコストや耐震化、断熱化などは、8合目まで来ています(当たり前になっています)。
      その次に何を重視すべきなのかと言えば、家族の快適で健やかな時間とか、そういうことだと思うんです。

    • 長澤 猛 長澤
    • 私もつくづくそのように感じていています。
      コロナ過が終わり、人々の考えにも大きな変化がありました。
      「モノ」よりも「コト」へのこだわりです。
      どのようなコトをして過ごすのか。
      それで言うと、忙しい毎日を終えて帰ってくる家は、「癒しの場所」でなくてはならないと思うんです。
      ワクワクしたり騒いだりする場所じゃない。
      心も体も整えてリラックスして暮らせる、まさに今回のモデルハウスのような場所がこれからの時代の住まいのあるべき姿なんです。
      これをご覧の皆さんにも、まずは体感しに来ていただきたいですね。